歯ぎしり
20 Mar '04 Update
夜寝ているときの歯ぎしりは当人にとってはなかなか気づかないものの、時によっては周囲の人を困らせることがあります。
一口に歯ぎしりと言ってもいくつかの種類があります。
・クレンチング:歯をぎゅーっとくいしばる
・グライディング;歯を左右にこすり合わせる
・タッピング:上下の歯をカチカチ小刻みにたたく反復運動
・〜・を含めてブラキシズムと呼びます。
歯ぎしりは精神的なストレスや肉体的な力の負荷(スポーツ時など)・疲労によっても発生します。局所的な要因としては、ある部分の歯が強く当たっていることにより起こります。
歯ならびは常に一定の位置を保っているとお考えになるかもしれませんが、実際にはたえず位置が変わっています。
卑近な例を挙げると食べ物の繊維質のものが歯に詰まるのは、歯が動いていることに関係しています。ぎゅっと噛むことにより歯が少し移動すると歯と歯との間が広がります。そこにものが入った状態で、上下の歯のかみ合わせを離すと、動いた歯がもとの位置に戻り、食べ物が挟まったままの状態になります。これが歯にものが詰まった状態です。
歯の位置は、歯を支える骨の状態(歯周病)によっても変化します。また親知らずが横に埋もれていたり、歯ならびが悪くもともと歯が倒れていたりすることによっても歯の位置は変化します。もちろん子供の時期には歯が生えかわったり、アゴが成長したりすることによっても歯の位置が変化します。
歯の位置が変化し、部分的に強く歯が当たるところが出てくると、かみ合わせの運動を司る筋肉が違和感を憶え、最適な運動が出来る位置を探そうとする働きが始まります。通常このような筋肉の動きは短い期間で治まりますが、ずっと歯に強く当たる部分が残っていると、歯ぎしりを無意識的にし続けることになります。上に挙げた歯の位置が変化する要因がある幼児から大人に到るまで、歯ぎしりが認められることになります。
歯ぎしりは起きているときにも眠っているときにも現れます。起きているときの歯ぎしりは自分でも気づきやすいのですが、睡眠時の歯ぎしりはなかなか本人が気づくには到りません。朝起きたときに口の周りの筋肉や頬の筋肉やこめかみ辺りが痛く感じたり疲れたりしている場合には、歯ぎしり(ブラキジズム)があると疑われます。このような症状がある場合には、身近な人に歯ぎしりがあるかどうかを聞いてみて下さい。
・・に挙げられる歯ぎしりは歯に大きな負担をかけるため、初期の段階では歯の山がすり減る(咬耗)現象が出てきます。歯がすり減ってもかみ合わせが安定しない場合には、さらに多くの歯がすり減ることになります。
右の写真(模型)は、歯列全体に渡りかみ合わせがすり減った状態です。歯をこする運動の平面に沿って、歯が平らになっています。
加齢や歯周病の進行により歯を支える骨が少なくなってくると、かみ合わせの力に負けて、歯がよく欠ける・詰め物がよくとれるなどの症状がでることがあります。歯ぎしりは歯周病を悪化させることにもつながり、歯が動く感じ(歯が浮いた感じ)・知覚過敏・歯を支える骨(歯槽骨)の垂直的な吸収が認められることもあります。
歯ぎしりの治療はかみ合わせの調整を行いスムースな運動が出来るようにします。歯ぎしりによる歯の咬耗が大きくなっている場合には、マウスピースを作りかみ合わせの安定や歯の保護を行ったりします。
歯ぎしりは周囲の人への安眠を妨げるだけではなく、実は自分自身の歯にも相当の負担をかけているのです。とくに30〜40歳代にもなると歯周病の問題が少なからず誰しも絡んできます。歯が2回以上欠けた経験のある人は注意が必要です。歯の保護に対する対策や歯周病へのケアが大変重要になります。これらの対策・ケアが不十分な場合には、立て続けに歯が欠けるなどの事態が起こるおそれがあります。歯が欠けた際には、その歯だけの治療にとどまらず、他の歯についてのケアも相談してみて下さい。
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