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シンガポールと日本との医療システムの違い

 

ここシンガポールではかかりつけ医と専門医との区別分けがはっきりとしています。まずはかかりつけ医に見てもらい、難しい症例に対しては専門医に紹介するというシステムが、歯科においても採られています。

日本での歯医者の勤務形態は、一般開業医、大病院での口腔外科医勤務、大学病院での専門医制におおまかに分けることが出来ます。日本では専門医制度が発達していません。開業医として、幅広い症例をこなしている方がほとんどです。これは日本の保険制度によるものが大きいものと考えられます。

日本の保険制度は、どこの病院に誰が行っても等しく同じ医療が受けられることを謳った制度です。同じ治療法を採っているのならば、熟練した先生が行っても、若い先生が行っても、かかる費用は全く同じということです。そのため歯科医側も幅広く、患者のニーズに応えようとします。

シンガポールではそれぞれの歯科医が専門性を高めようとします。専門性を高めることにより、その分野におけるspecialist chargeが掛けられるからです。そのため大学(NUS)卒業後、海外に出て専門性を磨き、専門医としてシンガポールで働く方が多数います。

歯科の専門医には次のようなものがあります。

歯科矯正(しかきょうせい) 歯並びを治す治療
口腔外科(こうくうげか) 歯、口、アゴ周りの外科治療
歯内治療(しないちりょう) 深くなった虫歯に対する治療
歯周治療(ししゅうちりょう) 歯肉炎・歯周病(歯槽膿漏)の治療
補綴治療(ほてつちりょう) かぶせものや義歯(入れ歯)の治療

他にも小児歯科、高齢者歯科、審美歯科など様々あります。

口の中という小さな領域ですが、構造は非常に複雑になっています。個人の鑑別が出来るほどに、個人差も多様です。歯科治療には知識とそれに裏付けられた経験・技術が必要不可欠なものであり、専門性に再分化されるのは至極当然な流れとなってきました。

歯科の専門性が最も区別されているのは、米国です。治療内容に対する責任が明確に問われますので、高度な専門性が時には要求されるようになっています。質の高い要求がされるため、治療費が高額になることにも繋がっています。

欧州でも米国と同じような流れになっています。シンガポールは英国とのつながりがあったためか、同国へ留学する方が多いようです。また地理的に近いオーストラリアに留学する方も多数います。

ひるがえって、日本では専門性を磨いても保険診療上は同じ料金となるため、専門性を磨く人はあまり多くありません。専門性を極めて、日本で専門医として立ち上げている方の場合、保険診療を扱っていないこともあります。

お口の中は全体としてひとつにまとまっています。全体の調和を考えながら、治療を進めていくのがかかりつけ医であり、その治療の一環の中で高度な専門性が要求される際に答えるのが専門医とお考え下さい。ここシンガポールでは、かかりつけ医と専門医が協力して歯科治療に当たっています。

 

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