Tooth fairies(歯の妖精)*
−子供が愉しく歯科医院を受診するように努めている歯科医院−
The Sunday Times, 20 March 2005
Update: 23 March 2005
【抄訳 】
子供が「the
Incredibles」を観たり、ゲームボーイで遊んだりするのに熱心なら、歯科医にかかるのは簡単になるだろう。歯科医は今、子供たちを落ち着かせることが出来るように、子供が親しみを持てるような方法を取り入れている。
歯科医は昔から子供のベストフレンドではなかった。(ついでに言えば、大人もだが)。歯科医院での検診も、多くの場合子供のための特別な施設を備えているわけでもない。しかし中には、子供が楽しみかつ痛みを少なく訪れることが出来るように努力しているところもある。
子供向けの施設は大きなトレンドになりつつある。小児専門の歯科医は少なく、彼らは子供サイズの治療台のある個室で診療を行っている。心配な親はビデオカメラを通して別室にて治療を観ることが出来る。子供たちは治療が終える度にもらえるシールをコレクションしている。
小児歯科医は子供が周りの環境に慣れるまで十分な時間を取っている。子供が嫌がらないで口を開けられるまで、診療室に駆け込んできているわけではない。
歯科医のカメラや治療台で遊ばせたりもしている。子供の中には友達を呼んで治療を見学させに来る子もいるという。また歯科医が治療中の時にはみんなでアニメを見ることも出来る。子供のなかには、大きくなったら歯科医と結婚したいという女の子もいるそうだ。
しかしながら小児歯科医によれば、実際大人に比べると利益は少ないという。それでも子供たちを正しく扱うことは重要だ。もしそうでなければ、心理的に子供をダメにしてしまうかもしれない。子供に親しみが深くなるようになれば、笑顔はきっと取り戻せるでしょう。
【解説】
歯科にもそれぞれの専門が分かれています。
ここシンガポールも以前から歯科専門医制度が採られています。今年からは専門医制度がさらに政府登録制度となり、ますます治療についての信頼度を高めるようになってきます。今回のお話は小児歯科についてでした。
子供は大人と比べて、身体的にも精神的にも未熟ですので、子供一人一人の成長に合わせて、診察・診療に当たる必要があります。とくに初体験はどんなことでも非常に重要です。
別のトピックでも書きましたが、初めての歯科診療がひどいものだと、その体験を覆すのは非常に難しくなります。ひどい体験や怖がる話などで植え付けられた恐怖感を克服していくには、それなりの時間が必要になります。まずは遊びに来る感覚で、検診を定期的に受けておくと、実際に治療が必要になった時にもスムースに移行できやすくなります。児童にリラックスできる環境が得られるような努力を歯科医側も行うようにしています。
また子供の甘えと自立という問題もあります。歯科医は保護者と患児との話を双方聞くようにしています。ただ治療を受けるのは当然ながら、当人ですので、患児自体が自発的に行動をしてもらわなければいけません。保護者に甘えることで拒否反応を強く示す児童の場合、年齢にもよりますが、まず保護者の診療室への同伴を遠慮させていただくこともあります。これは患児の自立を促すものであり、児童に強制下で治療をするためではありません。強制下で治療を行うことは、児童に恐怖感を植え付けることにつながりますので、強制下の治療を行うことはありません。記事中のビデオカメラでモニターしながら保護者に別室で待機してもらうのは、このような理由からです。(当院では残念ながらビデオモニターまでは装備していませんので、個室の扉の裏側などで待機してもらうようにしています。)
子供はいろいろな可能性を持ち、それぞれの将来を歩み、また期待されています。私たちはその子供たちに笑顔がたえることなく、健やかに育つことができるよう少しでも役立てば、我々も大変嬉しく思います。
tooth fairyに少しでも近づけるよう私どもも頑張っています。