フルーツティーは歯を傷めうる(?)

source: Streats p.10, 5 May 2003
5 May 2003 Update


【記事抄訳】
 フルーツティー・ハーブティーは歯を傷めうる。ブリストル歯科大学の研究グループは報告している。
 これらの紅茶は歯のエナメル質や保護膜をむしばむ可能性があることを示唆している。
 多くの疫学的な調査から、若い人でも歯の摩耗が多くできていることが報告されている。この問題に関わっていると思われる一因に、ヘルシーだと考えられているハーブティーの消費があるとしている。
 彼らによると、ハーブティーの酸性度は様々だという。いくつかはpHが低く、つまり酸性であり歯を傷めるかもしれない。いくつかのものではpH が高く、アルカリ性で歯に無害である。総体的に、多くのものがエナメル質をむしばみ、オレンジジュースと比べて為害性が最大3倍であるとしている。
 この所見はハーブティーやフルーツティーが健康的であると考えている人たちに警告を与えるべきものであり、歯が傷んでいる人にはこれらの紅茶を飲まないよう歯科医は助言すべきだとしている。
 しかしながら英国のハーブティーの製造会社はこのことに反論している。
 広報担当によると、「フルーツティーを飲むことが有害であるとするならば、それはオレンジを食べることが歯を傷めることにつながる、と言っていることと同じだ。我々の知りうる限りこの指摘は間違いだ。」
 さらに次のように答えていた、「消費者に心配を掛けることはないと我々は信じている。通常に消費する分には、どんな酸性のものでも唾液によって中和していくのだから。」


【解説】
 甘いものを食べると虫歯が出来る。このことは昔からよく言われています。最近では様々な人工甘味料が開発され、虫歯菌の栄養源とならないことを謳ったものがでてくるようになりました。


 それではフルーツはどうなのでしょうか。
 フルーツはビタミンが多く含まれているのでとってもヘルシー、と考えている人も多いことでしょう。ここで考えなければいけないのは、「甘い」・「酸っぱい」と感じることにどんな意味があるのか、ということです。


 「甘い」と感じるフルーツには砂糖は入っていませんが、果糖が入っています。果糖は砂糖ほどではありませんが、虫歯菌の栄養源となりうるものです。
 一方「酸っぱい」ものはどうでしょうか。「酸っぱい」は漢字からも分かる通り、酸性に傾いているものです。酸は歯の主成分であるカルシウムの結晶を溶かす働きがあります。


 以上のように書くと、「甘い」・「酸っぱい」ものは大変歯に悪いと思われるかもしれません。でも心配しすぎる必要はありません。


 文末の方で紅茶会社の広報が答えているように唾液には緩衝作用があり、食後数時間で口の中が酸性から中性に戻る働きがあります。また歯にも再結晶化作用があるので、ある程度歯が脱灰してもカルシウム結晶が再沈着します。


 頭に入れておいていただきたいことは緩衝作用も再結晶化作用も数時間が必要ということです。お菓子やフルーツを食べたままで食べ物が溜まっていたり、だらだらと食べつづけたりすることによって、唾液の働きが間に合わなくなってしまうことがあります。緩衝作用や再結晶化作用が十分効果を発揮しない間に食べ物が存在しつづけると虫歯になる可能性が高くなります。


 フルーツティー・ハーブティー自体で歯が悪くなるかどうかは分かりません。もしかするとこれらの紅茶を長い時間大量に飲むと虫歯になってしまうかもしれません。でも普通カップ1-2杯ぐらいだと思います。まず問題はないレベルでしょう。ただ紅茶に砂糖をたくさん入れる方やデザートやケーキも一緒に食べられる方はちょっと注意したほうがいいかもしれませんね。

 

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