要旨

 知覚過敏は歯に外見的な欠損がないのに、歯がすごくしみる状態をいいます。多くは歯の根元の弱い部分が露出したことにより、刺激を受けやすくなってしまったことに起因します



歯の表面はエナメル質という硬い結晶で覆われていますが、歯の根もと部分ではエナメル質により覆われていません。10代後半から20代にかけて歯はエナメル質で覆われているところのみが歯ぐきの外に出ていますが、年を経るに従い歯ぐきが退縮*し、歯の根もとが出てきます。
*健康な歯ぐきでも一年に0.1mmずつ下がっていくといわれています。歯周病にかかると歯ぐきの退縮する割合は増していきます。


歯の根には通常象牙質の上にセメント質と呼ばれるものがありますが、所によってはエナメル質にもセメント質にも覆われていない象牙質が歯ぐきやポケット内に露出していることがあります。象牙質には多数の管があり、この管はいわゆる歯の神経にまでつながっています。露出した象牙質の管の部分が解放状態になると歯の神経に対して刺激が素通りすることになるため、冷たい水などがしみるようになります。


刺激に対する神経の反応が度重なるようになると、生体に対する危機が迫っているものと見なし、神経は警戒を強くしていきます。警戒を強くする過程で、神経は少しの刺激に対して過敏に反応を起こし始めます。過敏に反応する中で、刺激は一過性のものであるため、生体側は原因を突き止めることが出来ず、ますます疑心暗鬼を強くして、警戒をさらに強化していきます。こうしてほんの少しの刺激が大変大きく反応するようになります。


治療方法としては、無数に開いている穴をふさぐように薬を塗り、歯をコーティングします。これにより刺激が入ってこないようになれば、次第に知覚過敏は落ち着いてきます。ただし神経の反応が大きくなりすぎている場合は、刺激のない状態でも神経が活動しているため、すぐに効果が現れないこともあります。 刺激が入らなくなると、神経の興奮状態も徐々に収まっていきます。

 

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