英語学習は痛い
source: The straits Times, Asia, p1, Monday, October
20, 2003
20 Oct 2003 Update
【記事抄訳】
中華系人種は英語を会得できるように授業を受けている一方、他人種では根本的な外科処置に頼っていることもある。韓国の外科医は4歳の子供の小帯(舌の裏側と口腔底をつなぐ組織)を1.5cm切り落とした。この処置は舌をもっと柔軟に動かすことが出来るようにするものである。
【解説】
記事内容の外科処置と言語習得との関連性について理解は出来たでしょうか?
舌の裏側と下の前歯の裏側の歯ぐきとの間にはヒモのような物があります。これを舌小帯といいます。同じような物にくちびるの裏側の中央から歯ぐきにあるヒモを上(下)唇小帯、頬の裏側から歯ぐきにあるヒモを頬小帯といいます。
舌小帯(ヒモ)が固かったり、短かったりする場合には、舌の動きが制限されるため、発音がうまくできないことがあります。とくに「ラ行」の発音が問題になります。
舌小帯の異常があるかどうかについては、舌を前に延ばしてもらえれば分かります。小帯が固くなっている場合には、舌の先がくびれて凹む形になります。重度になると発音障害や哺乳障害・嚥下障害が現れます。
通常乳児では舌小帯は太く短いものの、成長に伴い改善されていきます。そのためほとんどの場合、問題となることはありません。しかしながら重篤な障害が出ている場合には、小帯の切除が必要になることがあります。
記事中では英語の習得のために手術をしたとありますが、もちろん英語の発音に限らず、母国語にも影響があるので手術をしたものと考えます。母国語も喋ることが出来ないと、子供の心理的な面にも影響を及ぼしてしまいます。
手術を行った所が韓国であり、韓国・日本ともL/Rの発音が不明瞭なため、この手術により英語の発音もよくできると医師が冗談のつもりで言ったのが、そのまま記事になったのでしょうね(記事はReuter発)。
記事中の写真では全身麻酔下における小帯の切除・縫合が行われていました。現在はレーザーによる切除も行われるようになり、この場合縫合はしません。また術中・術後の痛みも少なくて済みます。
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