学校歯科検診について

25 June '04 Update


幼稚園から高校生に到るまで、日本の幼児・児童・生徒には年度の始まりから6月にかけて健康診断が行われています。健康診断には、歯科検診も含まれています。ご両親の世代においては6月4日が「虫歯予防デー」とされていて、そのころに歯科検診や歯みがき指導が行われていたと思います。現在はちなみに虫歯予防週間になっていて、同じ頃に検診が行われています。


学校検診には、自分の健康状態について客観的に理解し、自らの保健意識・行動を高めることを目的としています。もらってきた検診結果に一喜一憂するのではなく、その結果からどのように自分の健康を保っていくことを考え行動するのかが重要です。このことを是非、本人・保護者・担当医師とご相談してください。


さて、学校歯科検診の項目には大きく分けて、「むしば」・「歯周病・歯肉炎」・「不正咬合(かみ合わせの異常)」などがあります。顎関節疾患の有無や歯垢の付着程度、要注意(要抜歯)乳歯などが追加項目としてとりあげられることもあります。


保護者も本人も一番気になるところはむしばの有無ではないでしょうか?以前であれば早期発見早期治療が必要不可欠の文言になっていました。しかしながら近年では予防歯科における疫学的な調査研究もあって、必ずしも“すべての虫歯をすぐに治療しなければいけない”とは言わなくなりました。従来はC1〜C4と言う記号がむしばの程度を表していました。現在ではCo(要観察のむしば)という記号が使われることもあります。


歯の表面の軽い白濁エナメル質の部分のみにとどまっている黒い着色(むしば)については、すぐに削って詰め物をするのではなく、定期的な歯科検診と歯面清掃・フッ素塗布等によって、その状態を維持する(悪くしない)ように努めることもあります。歯が清潔に保たれていれば、むしばが急速に進むことはありません。


かかりつけの歯科医がいれば、児童当人のお口の中の保健向上のために、今すぐ治療すべきか、しばらく経過を見守るのかの判断が出来るでしょう。もちろんすぐ治療しなくてもいいからと言って、そのまま放置していいわけではありません。歯科医による定期的なチェックおよび歯面清掃がきちんと行われてこそ、経過が良好に保てる可能性が大きくなるのです。


子供の生えたての歯はまだ十分な硬さになっていないこともあり、大人と比べるとむしばの進行速度は早くなっています。歯の萌出・交換時期には歯ブラシが行き届かないところが出てきたり、子供の自立などに伴い親の管理から離れると磨き残しが多くなったりします。学童期はむしばが発生しやすい時期になっていますので、本人の甘い希望的観測ではなく、より細かい専門家のチェックが必要になります。その上で虫歯の治療がすぐ必要なのか、それとも経過観察をしていくのかが示されるはずです。


学校歯科検診は照明など限られた環境下での大人数のチェックです。これはスクリーニング調査(ふるい分け調査)と呼ばれるもので、成人検診における要精密検査と同じものです。精密検査をしたら、虫歯の治療をしなければいけない数が実際には多かったり少なかったりすることもあります。まずは担当医師と検診結果と精密検査の結果とについてご相談してみてください。

 

もどる

目次

Home

 

Copyright © 2002-2011 by Dr K. Sakurai, Ko Djeng Dental Centre Pte Ltd. All rights reserved.
All articles, including photos, illustrations and animations, are produced by K. SAKURAI.
記事についてのお問い合わせはメールにて対応致します。