ヘビと医術

14 Apr 2003 Update


世の中SARS騒ぎで、いろいろな権威の発表について情報収集している方もいらっしゃると思います。


組織標の中でWHOCFPSなどがヘビが巻き付いた杖を図案にしていることに気づかれた方はいらっしゃいますか?この杖は各国のいろいろな病院や医療機関でも図案化されています。この杖はアスクレピオス(ョsculapius)の杖と呼ばれ、医術の象徴とされています。


ヘビの毒はこわいけれど、うまく使うことによって薬にもなりうる。ヘビは毒の知恵を持って、死の砂漠を生き抜いてきている、と古代エジプトの医官は考えていました。ヘビは知恵の象徴でもあり、ファラオの頭飾りにもなっています。


毒は薬ともなりうることは現在でも同じです。薬には効果となりうる濃度と中毒になりうる濃度がそれぞれ測られています。この濃度差が大きい薬は安全であり、濃度差が小さい薬は扱いに慎重を要する薬となります。昔は大変おそれられていた毒(薬)であるボツリヌスやサリドマイドなどが、現在違った用途で薬として使われてきていることがあります。このことなどは薬と毒との関係を示す一例です。


古代エジプトの大賢者イムホテプはギリシャ神話のモチーフになり、アスクレピオスという最高の医神として崇められるようになりました。アスクレピオスの像はヘビの絡まった杖をついています。アスクレピオス神殿には実際にヘビを飼っていたといいます。そしてヘビの薬を求めに神殿には患者が集まり神託を受けていたようです。その中には歯の痛みを訴え、実際に治療を受けたとの記載があります。紀元前1250年頃のお話です。


ヘビといえば恐いとのイメージがありますが、当時ヘビは知恵者として考えられていました。そのヘビを扱う者は、ヘビに優る賢者とされていました。夜空にはへびつかい座という星座もあります。この星座は13星座占いでも知られるようになってきました。ターバンを着けた怪しい親父が笛を吹きながらヘビを踊らせる芸人ではなく、ギリシャ神話の医神としてへびつかい座を夜空に見上げてみてください。黄道を通る星座なので、時間が合えばシンガポールでは真上にまで星座が上ります。

 

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