歯の根の問題だって?すぐに専門家に行ったほうがいいよ!

source: The Straits Times, Home, P. 2, April 3, 2004
Update 13 April 2004


【記事抄訳】
医科と同様に歯科の専門医としての登録が、現在検討中である。


多くの国で歯科の専門医登録が行われている。シンガポールが周辺各国のデンタルハブ*になりたいのなら、専門医の登録制が必要である。


登録の機運は1999年にもあり、歯科医師条例はその後修正された。


大きな方針転換の議論がなされる中で、専門医がその専門分野のみの治療だけに携わることにするのか、今まで通り一般分野も治療できることを認めるのか、その意見を求めている。


米国や英国では専門医は両方をしているが、専門分野の治療をメインとし、一般分野にはそれほどの時間を割いていない。


一般歯科医は難しい症例を専門医に紹介するようになるだろう。しかしながら一般医が難しい症例に手を付けることを避けることは出来ない。専門医登録をすることで、治療を受ける側も専門医かどうかが分かるようになる。


すべての歯科医は専門的な技術や能力の範囲内で治療を行うべきである。難しい問題を抱えていたり、困難な治療が必要とされたりするものについては、専門医に紹介するべきである。


しかし考慮すべき点もある。専門医での治療費の問題である。上級顧問が通常の弁護士と同じような代金を取らないのと同様に、サービスの内容により治療費も変わってくるだろう。


手始めに保健省は5つの専門医を掲げようとしている。
歯内治療医:根管治療
口腔外科医:親知らずの抜歯から、アゴの手術に到るような外科処置
歯科矯正医:歯ならびを治す治療
歯周治療医:歯ぐきの問題を治す治療
補綴治療医:義歯の治療


【解説】
歯科治療は様々な分野に分かれています。


日本でも医科は専門が分かれているのはよく知られていますが、その認定医の取り決めをする基準になる医師側の治療技術や経験の評価方法はまだまだ論議中と言うのが実状です。


日本の開業歯科医において業務内容の標榜は、一般歯科・口腔外科・小児歯科・矯正歯科のみに限定されています。その標榜に際して、第三者による審査はなく、自己申告になっています。専門医の認定などはまだまだ先のお話になりそうです。


歯科専門医登録は、それぞれの専門性を高めて、治療の質を高めることができます。一般医が自分の技術をこえて無理な治療をすることを抑えるメリットもあります。


しかしながらデメリットには治療費の負担が大きくなることが挙げられます。上の抄訳文章にあるように、サービスが高度かつ複雑になれば、その結果対価が大きくなってしまいます。


もちろんすべてを専門家に任せなくてはならないと言うことではありません。一般歯科医側が自分の技術を越えていると判断した時に専門家に照会するシステムです。つまり困難なケースをないがしろにしたままにするのではなく、専門家の手を借りて、質を高めることに重点が置かれます。このことは術後のクオリティーを高めることになります。再治療の必要性もほとんどなくなるでしょう。トータルで考えると、専門家に責任を持ってしてもらった方が、コスト的にも安くなるはずです。


シンガポールは専門医の認定や生涯学習プログラムの義務化を通して、歯科医の質を高め、アジアのデンタルハブ*を目指そうとしています。


*周辺各国から歯科治療受診のためにシンガポールに来るような中心国を意味します。既にインドネシア・マレーシア・インド・モルジブなどから実際に歯科治療を受けにシンガポールに来る患者さんもいます。シンガポールのメディカルハブ(医療ハブ)化政策については、周辺各国よりも先んじていています。タイやマレーシアでも同様の政策が進められ、ホスピタリティーや低価格などを押し出していますが、シンガポールほど進んでいません。シンガポールは言葉の問題はもちろんのこと、医療技術や高度な専門性が有利な点となっています。

 

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