スポーツドリンクとエナメル質の疲弊
Today, 30 August 2005, p.37
Update: 2 Sep 2005
【抄訳】.電解質のスポーツ飲料にはバランスのとれた栄養成分・ミネラルが含まれていて、疲労から気力を維持してくれるとされている。
しかしある報告によれば、長期に渡ってある種のスポーツ飲料を飲み続けると、エナメル質が疲弊するという。
研究ではエナメル質を小さく砕いてブロックにしたものを、スポーツ飲料・ソーダ・エネルギー飲料・紅茶・甘味飲料などに浸して実験を行った。24-48時間毎に14日間、エナメルブロックの重量の変化を計測した。14日間の浸漬は通常の飲料消費の13年分になるという。エナメル質の溶解は、スポーツ飲料が最も顕著だった。
この研究は長期間の暴露に、また標本数が少ないことに反論の余地があるが、運動選手は長い時間少しずつ同種のものを実際に飲んでいる。研究者は早く飲み、口の中にとどめておくべきではないと言う。またできることなら水を交互にのみ、原因となる酸を洗い流すべきだという。
【解説】以前フルーツティーのお話にもありましたが、酸っぱいものやある種の酸が入っているものについては、エナメル質の溶解の危険性があります。しかしながら、これらを飲んだからと言って、すぐにエナメル質が溶けるわけではありません。
唾液の中にはpHの緩衝機能や脱灰した歯の再石灰化機能などがあり、歯を守る働きがあります。この働きをうまく行かすことができれば、簡単に虫歯になることはありません。
ただし、唾液の歯を守る機能は非常にゆっくりとしたものです。ずっと酸や電解質などに晒され続けると、唾液の歯を守る時間が与えられないことになり、非常に危険な状態になることは確かです。
スポーツ選手に限らず、小さな子供がペットボトルを持ち歩き、たえずジュースなどを飲んでいる状態も虫歯にしやすい原因となります。注意しましょう。
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