口内炎

21 Feb '04 Update


口の中の粘膜が、赤く丸くただれて炎症を起こすことがあります。このような状態を総称して口内炎と呼んでいます。


粘膜は赤くなり、所々粘膜の皮がむけたようになり、ひどいと血がにじむようになります。ヒリヒリと痛く、口の中にものが入ると、その刺激で痛みます。痛みのため食事がしづらくなったり、喋りにくくなったりします。


口内炎になった場所を注意深く観察すると、中央付近が白くくぼみ、周辺部が盛り上がって赤くなっているのが分かると思います。口内炎は典型的な潰瘍の形をしています。粘膜の一部分が深く傷つくことによって、表層部分のカバーがとれてしまうと、粘膜の内側の軟らかい部分が露出してしまいます。粘膜の内側が出ているため、周囲よりくぼんだ形になっています。この部分は抵抗性も弱いため、細菌などが入り込むと、白色のじゅくじゅくとした状態になり、物が当たると痛くなります。周囲の赤い部分は、健常な部分と病変部との境目に辺り、炎症反応としての発赤や腫脹がみられます。


口内炎が出来る原因としては、上に書いたような粘膜部分が傷つくことによるものです。頬を歯で噛んだり、とがった物を口にしたりすることも原因になります。また全身的な疾患やビタミン不足により粘膜が弱くなっている場合にも口内炎が出来ます。


口内炎は炎症状態により以下のように呼ばれます。


カタル性口内炎
肉眼的に粘膜が赤くなっており、焼け付くような感じ(灼熱感)や刺激痛を主症状とする。食べ物のカスや、細菌の刺激により起こります。


壊死性潰瘍性口内炎
多種類の細菌感染によるもので、全身の抵抗力が弱ったときなどに発生しやすく、歯肉辺縁部に2-4mmの潰瘍を生じます。潰瘍は自発痛、接触痛が強く、出血しやすくなっています。


アフタ性口内炎
直径2-10mmの境界明瞭な楕円形の強い接触痛がある潰瘍。口腔粘膜に再発を繰り返すことが多く、通常1-2週間で治癒します。

 

口内炎以外にも口に中のできものには、薬のアレルギーによる薬疹があります。赤いぶつぶつした物がたくさんできた場合には、服用した薬の副作用かもしれません。薬以外でできる赤い発疹に多形滲出性紅斑と呼ばれるものもあります。


また口の中に水ぶくれのようなもの(水疱)が出来ることもあります。この水疱が破れると、ただれた(糜爛:びらん)状態になります。小さな水疱であれば、ヘルペスウィルスによる疾患が疑われます。大きな水疱や糜爛が出来ていると天疱瘡が疑われます。天疱瘡は皮膚にも水疱が出来るものであり、口の中に初発症状として現れることがあります。


口の中のできものには、いわゆる口内炎から薬疹・ヘルペス・天疱瘡いろいろな物があります。処方される軟膏には、若干の麻酔薬成分が入っているため、触っても痛みを感じなくなります。痛みを感じなくなっている間に、それぞれに対応した炎症を抑える薬やウィルスを抑える薬などが効くようになっています。

 

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