キシリトール

21 Apr '04 Update


2004年4月アメリカ−シンガポール間のFTA(自由貿易協定)が締結されました。これにより、シンガポールでのガムの販売禁止が取り下げられることになりました。


販売許可が下りたガムは、医薬学的に効果の認められた薬剤を含むものに限られています。その中にはキシリトールが含まれたガムも含まれています。キシリトールは日本では随分以前から食品への添加が認められていますが、シンガポールでは今回が初になります。


キシリトールは単糖アルコール類であり、ショ糖などの二糖類や多糖類とは異なります。むしばの原因となる菌を含め、口の中にある細菌は二糖類や多糖類を分解してエネルギーを得ています。キシリトールなどの単糖類は既に分解されている状態なので、細菌は栄養源として単糖類を摂取することはありません。


単糖アルコールであるキシリトールは酸を作らない(pHの低下を伴わない)ことから、ガムを噛み続けると、唾液の分泌が促進され、歯が守られる環境が整いやすくなります。好条件の整った環境は、エナメル質の初期脱灰部分に再石灰化をもたらします。この再石灰化作用を促進するためには、ガムの味が無くなってもしばらく噛み続けることが必要です。

キシリトールはすぐれた代用甘味料と言えます。ショ糖と同程度の甘みを持ち、味覚もよく、清涼感も強くなっています。しかしながら取りすぎると、お腹がゆるくなるなど腹部不快症状をもたらすことがあります。またショ糖よりエネルギー価は低いものの、キシリトールはいわゆる低カロリー糖ではありません。


キシリトールは単価が高いため、キシリトール単体で味付けをし販売すると非常に高額になります。そのためキシリトール以外にも代用糖が入っている場合がほとんどです。キシリトールの他に単糖アルコール(マルチトール、ソルビトール)が入っている製品では、お腹が下りやすくなることがあります。摂取量には気を付けてください。まれにキシリトール製品と謳っていながら、砂糖が入っているものもあります。砂糖がキシリトール製品に含まれている場合、キシリトールの本来の効果が得られないことがあります。キシリトール製品を購入される場合には、裏面の食品成分表をまずご覧ください。(写真ではキシリトールとマルチトールシロップが入っています。)

 

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