妊娠中・授乳中の方へ

 

1. 妊娠中の方へ

生まれてくるわが子への期待に満ちていると同時に、健やかな子供が生まれるよう母親として腐心なされている方も多いかと思います。

歯や歯ぐきに悩みを抱えてはいるが、生まれてくる子供への悪影響などを心配する方もいるでしょう。ここでは歯科疾患・歯科治療にともなう妊婦への影響についての要点をまとめてみます。

 

【妊婦に多くみられる歯科疾患】

○妊娠性歯肉炎(歯周炎)、妊娠性エプーリス

妊娠に伴い女性ホルモンが大きく変化します。
女性ホルモンの中には骨代謝に関わっているものがあります。骨の新陳代謝の量が変化する中で、歯を支えている骨の量も影響を受けやすくなります。歯肉炎・歯周病の素因を持っている方の場合、急性的な炎症として歯ぐきが腫れたり、歯周病が悪化したりすることがあります。

 

【妊婦と放射線】

妊婦の方へのレントゲン撮影は極力避けてはいますが、診断上どうしても必要な場合には、ご説明の上レントゲン写真を撮ることがあります。

歯科用のレントゲン写真による放射線の影響はほぼ問題はないとされています。

理由として
レントゲンの撮影方向が子宮に向くことはない。
歯科に用いられる放射線はごく限定的な範囲のため、放射線の絶対量が非常に少ない。
放射線防護エプロン(重いエプロンには鉛が入っています)の着用。
が挙げられます。

胎児への放射線の影響は2-8週が一番大きいと言われています。

放射線量については問題ありませんが、どうしても不安な方は

妊娠の可能性のない「最終月経から10日以内」の撮影をご希望下さい。

 

【妊婦と歯科治療】

安定期は「妊娠5-7か月」です。
それ以外の時期は絶対にダメと言うことではありませんが、肉体的・精神的に安定な時期を選んでいただいた方がよろしいかと思います。

○歯科麻酔について

通常の局所麻酔薬の量であれば、まず問題はありません
治療時の痛みや不安・ストレスを挙力のぞいてあげた方が、胎児にも優しいものとお考えてください。

麻酔薬について不安のある方は、歯科医にその旨をご相談下さい。

○投薬について

a. 妊婦への影響

薬剤によっては効きやすくなるお薬や効きにくくなるお薬が出てきます。

お薬は最小限度量から使用しますので、効きにくい場合にはお連絡下さい。またお薬の服用により、むくむなどの症状が出る場合にもお連絡を下さい。

b. 胎児への影響

妊娠4-7週: 中枢神経、心臓、消化器、四肢等
妊娠8-15週:口蓋の閉鎖(上あごの中央の硬いところ)、性器等

以上が形態の分化が現れる時期です。
これ以後の時期であれば、奇形などは起こしませんが、胎児はたえず成長を続けていますので、慎重な薬の選択が必要です。

比較的安全な薬には
抗生物質:セファロスポリン系、ペニシリン系、クリンダマイシン、エリスロマイシン、ジョサマイシン
消炎鎮痛剤:アセトアミノフェン
があげられます。

安全と言われている薬は以前からある薬の中で選ばれています。
新しい薬には、積み重ねられてきた経験や事故報告がないため、一般的に妊婦には用いられません。

 

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2. 授乳中の方へ

母乳を挙げている方がお薬を飲んだ場合、薬剤成分が母乳中に含まれることがあります。特に初乳には薬剤成分が濃縮されて含まれることがあります。また新生児は薬剤に対する抵抗性や代謝経路が未成熟です。

母乳中に含まれる薬剤の量はごく微量であり、医師から処方を受けた薬は薬剤の副作用を考慮の上処方されています。心配しすぎる必要はありませんが、万全を期すのであれば授乳・搾乳直後に薬を飲む、または人工乳に一時的に切り替えるなどの対応をしてください。一般に薬剤が母乳中に移行するのは2-3時間後といわれていますので、その間に蓄積された母乳を与えないようにするのもいいでしょう。

薬剤服用時の乳児への影響について、とくに注意を払わなければいけないのは生後1-2か月の乳児です。その際気を付ける点としては...

1.母乳の飲み方
2.眠り方
3.機嫌
4.便の状態などです。

万が一母乳を飲まなくなったり、うとうと状態が続く、変にぐずる、下痢、発疹などが現れたりした場合には、かかりつけ医にご相談下さい。

 

赤ちゃんにとって母乳は最も好ましいものです。薬の害を心配しすぎる必要はありません。「子供が母乳しか飲まない、でも薬が心配」という方は薬剤服用時の時間帯の母乳は飲ませないようにし、赤ちゃんの状態を今まで以上によく観察してみるなどの対応をしてあげて下さい。

 

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