歯と年齢

10 Dec '02 Update


齢(よわい)という字は歯偏から成っています。


この漢字の成り立ちは、「食の調理法が未熟だった時代において歯がなくなることは心身の衰弱に繋がること」に由来していると言われています。また歯を見るとおおよその年齢が分かることから来ているとも言われています。乳歯が生えたり、大人の歯に生え替わったりするのを考えれば年齢との関係も少しはおわかりかと思います。


実際子供の場合には外見上の成長からも年齢の推定は可能です。それでは大人の場合にはどうでしょうか?


永久歯は12歳前後に生えそろった後、生え替わることはありません。食事をするたびに歯は酷使されています。歯を長い間使うことで、歯は徐々にではありますがすり減っていきます。歯のかみ合わせの部分が摩耗することを咬耗(こうもう)といいます。咬耗が一番分かりやすい歯は下の前歯の先端です。


10-20 歳  咬耗は認められない
20-30 歳  先端部が若干すり減っている
30-40 歳  咬耗が進み、象牙質が点状もしくは糸状に露出する
40-50 歳  象牙質がある程度の幅を持って、露出する
50- 歳    顕著な咬耗が認められる。
(天野氏の分類より改変)


上は歯の状態と推定年齢を表しています。もちろんかみ合わせの深い人や歯ぎしりの強い人では実年齢より離れてきます。


咬耗以外では歯がどれくらい歯ぐきから出ているかによってもある程度の年齢が推定できます。歯ぐきは1年に0.1mm退縮していくと言われています。この退縮の度合いは歯周病の進行とともに大きくなってきます。歯周病の進み具合によってもある程度の年齢は推定できます。


他にもレントゲンを併用すれば、歯を支える骨の量や質、アゴの角度、いわゆる歯の神経の大きさ(体積)からも年齢の推定が可能です。


ちなみに街の金融機関では本人の確認には生年月日と年齢、干支(えと)を使うようです。年をごまかし生年月日を偽っても、なかなか干支は即答できないことを利用しています。日本では保険証があるので医療機関は簡単に年齢の確認が出来ます。医療機関で年齢を詐称する方はいないとは思いますが、質問内容には正確に答えてくださいね。実年齢と推定年齢との差は病態の把握や治療方針の決定に欠かせないもののうちのひとつです。

 

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