むし歯治療 ーコンポジットレジン充填ー
1.はじめに
2.コンポジットレジン充填(直接埋めるもの)
3.インレー充填(歯型を採ってから埋めるもの)
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要旨 口の中で直接詰める白いプラスティックは年々材料が進歩しています。詰めた所はほとんど見た目に分からないほどです。 |
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近年詰め物は金属を入れる以外にも、白いプラスティックで対応できるようになってきました。白い詰め物はレジン充填(じゅうてん)と呼ばれるものです。生化学分野の発展により、充填する材料はめざましい勢いで改良を加えられています。硬度や接着力、耐久性、安全性などは年を追うごとに良くなっています。材料の性能が上がったので、現在ではほとんどの歯で使用可能となっています。ただし、唾液のコントロールができない場所では、しっかりと接着することは出来ません。また細かな微調整は口の中で行うため困難であるという欠点はあります。以下手順を追ってみましょう。
1. 虫歯による感染歯質の除去
虫歯により軟らかくなった部分を削り取ります。
虫歯で挫滅したところのみを削除するため、金属の詰め物のための形を作るほどには痛むことはありません。しかしながら、痛みに敏感なところを抑えたり、歯ぐきの出血のコントロールをしたりするために麻酔を使うこともあります。
軟化した歯質の中には多量の細菌が含まれています。この部分を取り除くことにより、細菌の攻撃力と自分の体の防衛力とのバランスが改善されます。
2. 歯面処理
虫歯の部分を削り取った表面には、目には見ることは出来ませんが削りくずが表面にべったりと付いています。表面を薬液で処理することにより削りくずが無くなり、きれいになった歯そのものの表面が露出します。これはホコリ等で汚れている場所に接着剤やシールがくっつかないのと同じで、まずは表面をきれいにして隙間に別のものが入らないようにすることを意図したものです。
歯面処理には弱酸性の溶液を使うため、歯がしみることもあります。
3. 接着剤塗布
きれいになった歯の表面には、細かな硬い結晶の凹凸や細かな繊維が露出しています。接着剤を塗った後しばらく放置することで、結晶のでこぼこや繊維に接着剤の成分がしみこんでいきます。一定時間の経過後、光を当てます。光を当てることにより接着剤が固まります。接着剤は凹凸に入り込み、繊維にまとわりつくことによって、接着が強固になります。表面が濡れている場所に接着剤やシールが着かないのと同じで、これらの一連の操作には水分の存在は厳禁なものになっています。口の中は元々湿度100%の状態なので、これを如何にコントロール出来るかが重要になります。
接着剤がしみこむことや、接着剤が硬くなるときに熱を出すことで、歯がしみる感じがすることもあります。
4. 充填材による盛型
接着剤を塗った後、詰め物となる材料を盛っていきます。この材料はほぼ接着剤と同じ素材で出来ていて、これに強度を増し白く見える結晶成分が配合されています。
削った部分に詰め物を盛って形を整えた後、また光を当てます。先ほどの接着剤と同様、光を当てると接着成分が活性化して硬くなります。
接着剤の硬化は鎖の輪に例えることが出来ます。はじめは鎖の輪が開いていたものが、光を当てることによって閉じて、長い鎖になっていくと想像してください。短い鎖はいくらあっても身動きが自由ですが、長い鎖によって巻かれると身動きが不自由になるようなものです。
3.の接着剤は短い鎖で輪の開いている所が幾つもあると考えてください。光を当てることによって輪が閉じていきますが、まだ輪の閉じていないところや、鎖が繋がりきっていないところがあるようなものです。この輪が閉じていないところが4.の充填剤の鎖に繋がるようになります。4.の充填剤の中にある接着剤は元々長めの鎖がいくつかはいっていて、光を当てることによりそれぞれの鎖が繋がって大きく頑丈なものになるよう出来ているのです。
5. 仕上げ
硬くなった詰め物の形を削りながら整えます。
形が整った後、詰め物を磨いて終了です。
歯ぐきに近いところの詰め物の形を整えるときにチクチクした感じがあるかもしれません。
Copyright © 2002-2011 by Dr K. Sakurai, Ko Djeng Dental Centre Pte Ltd. All
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K. SAKURAI.
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