むし歯治療 ーインレー充填ー

 

1.はじめに
2.コンポジットレジン充填(直接埋めるもの)
3.インレー充填(歯型を採ってから埋めるもの)

 

要旨

  歯型を採ることにより口の中を模型で再現します。模型上で作った詰め物を、口の中で調整しセットします。



歯型を取って詰めるという方法は昔からあります。こちらも材料の進歩により、模型による口の中の再現がより正確なものになってきました。また付けるセメントも接着力、安全性が高くなってきました。以下手順を追ってみてみましょう。

 

治療の手順をみてみる

 


1. 感染歯質の除去


虫歯で軟らかくなっている場所を取り除きます。


虫歯を取る機械には、タービンと呼ばれるものとエンジンと呼ばれるものがあります。スプーンと呼ばれる手用の切削道具もあります。


タービンの中にはとても小さな風車があり、圧搾空気を送り込むことにより高速で回ります。一分間に数十万回回転します。高速で回ることによる風切り音がキーンという音を立てています。タービンの先に付けるバーと呼ばれているものにはダイヤモンドの粒子が付いていて、硬い歯がスムースに削れるようになっています。


エンジンと呼ばれるものは根元に電気モーターが入っていて軸受けが回るようになっています。回転は数千回転以下で回転数の調整が可能です。エンジンのバーはスチール(鉄)、カーバイト(炭化カルシウム)、カーボランダム(炭化ケイ素)、シリコン樹脂など様々なもので出来ています。用途によって使い分けます。モーターの回転が低速なことバーの表面が凸凹していることで、振動が発生し、ひびくように感じるようもなります。


タービンもエンジンも水をかけながら行うことにより摩擦熱を冷却するようにしています。


スプーンは食卓のスプーンと同じ形をしています。機械を用いず軟らかくなっている部分をスプーンの凹みで掻きだすことにより虫歯の除去を行います。


2. 神経の保護


虫歯が深かった場合には、お薬を置いた後歯を補強することがあります。このことは歯がしみることを抑えたり、歯の神経の近くにまで達した細菌を抑えたりする効果があります。


3. 窩洞形成(詰め物の形を作ること)


金属(またはセラミック)は当然ながら硬いものであるため、ぴったりした形のものが抵抗無くはいる必要があります。また入れたものが簡単には取れないような構造にする必要があります。そのための形に改めて削っていきます。


4. 印象採得(歯型)


削った形を模型上で再現するために歯型を取ります。


精密な歯型を採る材料には通常2種類を使います。外側が比較的硬く、内側が軟らかいものになっています。外側の硬い材料が内側の軟らかい材料を圧迫することにより、隅々にまで歯型を採る材料が行き渡り、より精密な歯型が取れるようになります。材料にはビニルシリコン樹脂を用いていますので固まるまで少々時間がかかります。


治療終了後歯型の中に石膏を流し込み模型を作ります。その模型をラボに渡して、詰め物の制作を依頼します。ラボは模型上でまず蝋細工の詰め物を作ります。蝋細工の詰め物を石膏の中に埋めた後、蝋細工を溶かします。蝋細工の溶け出した空洞の中に溶かした金属を流し込み出来たものが金属の詰め物です。


5. 仮封(仮詰め)


次回の約束までの間、削った歯を守るため仮留めの材料で埋めます。


材料は水を吸って固まる石膏成分の入ったものです。


6. 仮封除去(仮詰めをはずすこと)


仮留めの材料には石膏成分のものが入っているので、かなりしっかりと付いています。これを外すには超音波を用いて、振動を加えながら行います。


7. インレー試適(詰め物の調整)


模型上で作った詰め物がきちんと適合するかを確かめます。その後歯と歯の間の調整や噛み合わせの調整を行います。調整が終わった後、詰め物を磨きます。


8. インレー合着(詰め物の接着)


歯の表面をきれいにした後、詰め物と歯とを糊の役割を果たすセメント呼ばれるもので付けます。
セメントが固まるまでの間、位置が動かないようにしばらく噛んでいただきます。

 

 

もどる

Home

Copyright © 2002-2011 by Dr K. Sakurai, Ko Djeng Dental Centre Pte Ltd. All rights reserved.
All articles, including photos, illustrations and animations, are produced by K. SAKURAI.
記事についてのお問い合わせはメールにて対応致します。