たかが乳歯とは思わないで!
Today, p. 40, July 19, 2005
【抄訳】多くの就学前の児童のように、ある6歳児は歯医者に行ったことがなかった。歯に大きな穴があいていても...
彼の母親は今すぐにでも彼を歯医者に連れて行こうとは思っていなかった。「今の年齢では、歯医者をすごく怖がるもの」と言うのが理由だ。
悪い歯はそんなに痛んでいるようではなかった。だから、来年の小学校での歯科検診まで待とうと思っていた。
「乳歯は最終的に生えかわるから、重要ではない」という陥りがちな誤解があります。
しかしながら実際には、健康な乳歯は子供の全身の健康や成長に非常に重要なものです。
健康な乳歯列があってこそ、よく食べることが出来ますし、いろいろな食事も取ることが出来ます。これはバランスのとれた食事を取るのに重要なことです。
乳歯は永久歯の成長のカギとなるものです。虫歯になった乳歯が早く抜けることによって、歯の生えるスペースが少なくなると、歯ならびが悪くなってしまいます。
健康的な歯は子供の社会的かつ個人的な成長にも関係します。
健康な歯列は外見やきれいな発音とも関係します。これらはひいては自信や自尊にも関係します。
どうすれば虫歯を予防できるのでしょうか。
砂糖の入ったスナックの摂取を制限し
定期的な歯科検診に連れて行き
少なくとも1日2回歯ブラシをする習慣づけをしましょう
しかし虫歯になっていても、治療するには遅すぎると言うことはありません。
早期に発見できれば、虫歯になったところだけを取って、詰め物で治すことが出来るのです。
【解説】シンガポールでも日本と同じように学童の歯科検診が毎年あります。日本では対面の席に向かって座り、お口の中の検診をするのが一般的です。シンガポールでは車の中に診療所の椅子が入っている専門の移動施設を使って、検診を行っています。ちなみに日本では学校検診に際して負担する費用はありませんが、シンガポールでは検診費をそれぞれ支払う必要があります。
さて、乳歯も児童の健康になくてはならないものであり、乳歯は生えかわるからと言って、おろそかにすることは出来ません。よく知られているように虫歯は進行性の病変であり、痛みがなくても、歯が悪くなっているかもしれないのです。
小学生の頃は、歯の生えかわり、食生活の変化、子供の自立など、いろいろな要素が変化していきます。これらのいろいろな要素に対応して、適切に衛生状態を保っていかないと、虫歯ができやすくなります。また、生えたての歯はまだ十分に固くなっていないので、虫歯の進行が大人に比べると早くなっています。
検診でのポイントは、良かったか悪かったかではありません。健康についての認識を再確認するものです。もし何らかの徴候が認められる場合には、精密検査を受け、病態がひどくならない内に治療をすることを薦めるものです。
慢性的な病気は気づかない内に進行していることがあります。気づいた時にはかなり病変が進んでしまっていることもあります。痛みなどの症状がなくても、検診を受けることは大変重要なのです。
学校歯科検診については以前にまとめたページがありますので、そちらも参考にしてください。
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